民法改正と交通事故

佐藤です。本日は土曜相談の日でした。

昨日、弁護士会で、民法改正についての研修会がありました。講師は、法務省の法制審議会の委員としてご活躍された中井康之弁護士(大阪弁護士会)と高須順一弁護士(東京弁護士会)でした。実際に民法改正手続にかかわってこられた先生方からお話を聞く大変貴重な機会でした。

民法のうち、いわゆる債権法と呼ばれる部分については、大幅な改正が予定されていて、数年前から改正のための動きが進んでいました。順調に進めば2020年には改正された民法が施行(実際に適用されること)される見込みです。

この改正が交通事故事件にどのような変更をもたらすかが問題ですが、一番大きな変更点は、損害賠償の請求権について消滅時効の期間が延びることだと思います。

現在の民法では、交通事故などの不法行為の場合、損害賠償の請求権は、①損害及び加害者を知ったときから3年、または②事故(不法行為)のときから20年で消滅時効にかかります(民法724条)。
改正法では、①権利を行使できることを知ったときから5年、または②事故(権利を行使できるとき)から人身事故は20年、それ以外の事故は10年で消滅時効にかかることになります(改正法案166条、724条の2)。
交通事故の場合、通常問題になるのは①の「損害及び加害者を知ったときから3年」という消滅時効期間です。これが「権利を行使できることを知ったときから5年」に延びることで、多くの場合、交通事故の損害賠償請求権の消滅時効の期間は現在よりも長くなります。これは被害者にとって有利なことです。

ただし、注意しなければならないのは、保険金の請求についての消滅時効は今までと変わらないということです。自賠責保険をはじめ、保険金請求権の消滅時効は保険法により3年(保険法95条1項)とされていますが、今回改正されるのは民法だけであって、保険法については今のところ改正の動きがないからです。

法律の細かな改正は頻繁に行われていますが、今回の民法の改正は数十年に一度の大改正になると言われています。ただ、幸いなことに、交通事故事件への影響はそれほど大きくありません。その意味では一安心といえるかもしれません。

(平成29年2月18日)

 

 

 

 

 

 

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